草薙龍瞬さん『反応しない練習』が大変良い本なので、さらに開設動画連動記事を公開いたしますね。
この「反応しない練習」が優れているのは、よくある「悩みを消す」という方法はダメだ、と言い切っているところです。
つまり、この本でいう「反応しない」というのは「都合の悪いことには耳を貸さない」「見なかったことにする」という態度とは真逆だということです。
考えれ見れば、嫌な思いを消す、ってなんか、うさんくさくないですか(笑)。だって、嫌なことがあったからこそ、それなりに嫌な感情が芽生えてしまったわけで、それを見ないようにしようと思ってあれこれ忘れる呪文を唱えても、そんな子供だましのやりかたでは、忘れた、封印したと言い聞かせただけで、すぐにその嫌な思いはまた浮かび上がってきますよね。
この本は、例えば、正しく感情をコントロールするために下記のようなことが必要だと説いています。
悩みをなくそうとしない。「理解」することが正しい
例えば、①については、こんな感じで非常に実践的だし、説得力があります。
この本のキーワードである「反応しない」こととは、何があってもスルーするっていうのとは大違いで、むしろ、何があってもスルーしないで、正しく冷静に向き合って無駄な感情をそこに発生させないということを説いています。
言い換えれば、「見なかったことにしよう」と、脳をだます態度は、嘘をついて脳を無理やり手懐けるわけですから、普通に考えても、ものすごく労力がいる作業になりますよね。
見なかったことにする、聞かなかったことにすることは、途方もなく難しいことだと思います。そんな楽ができりゃ苦労しないという話。
それが、とても難しいからこそ、感情を消す方法という分厚い本が次から次へと出版されているわけです。
この本は、そういうまやかしの感情コントロール方法を否定した上で、正しい感情コントロール方法を「感情を消す」=見なかったことにする、聞かなかったふりをすることではなく、「正しく理解する(向き合う)」=「無駄な反応をしない」という態度に求めます。
非常に奥深い本です。
決して現実逃避のすすめではなくとても積極的に、正しく仏教を理解している方ですね。