シン! 原始仏教探究ブログ

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hiruandon-desu.hatenablog.com 上記の場所で更新を継続しています。

「縁」の力 〜原始仏教・唯識仏教・西田哲学を独自の視点から考えてみた~

釈尊が仮に、生天思想や輪廻思想に本来は否定的であったと仮定した場合、釈尊の覚りとはどのようなものだったと考えられるか?について、西田幾多郎の哲学を参考に筆者の勝手な一私見を書いたものが下記の記事になります。 buddism.club 西田幾多郎は個人の…

【やさしい般若心経】「不増不減」~有無同然、八風吹けども動ぜずに~

大乗仏教の経典『仏説無量寿経』(浄土三部経の一つ)に「有無同然」という思想が登場します。 世の人は浅はかで、急ぐ必要のないことを争い求める。この烈しい悪と苦痛の中で人々は日常の営みに身を苦しめ、働き、自分の生活にあくせくしている。 身分の高…

【原始仏教】四向四果Ⅱ ~預流・一来・不還・阿羅漢~

「四向四果(四双四輩)」の詳細を、今回は見ていきたいと思います。最初に、我々衆生(生命)を欲界・色界・無色界といった輪廻の生存(苦悩)へ繋ぎ止める潜在煩悩である「五下分結」と「五上分結」に触れておきたいと思います。 五下分結:衆生(生命)を…

原始仏教を西田幾多郎の哲学から考えてみた 〜本当の仏教は死後の世界を語らない?〜

日本の仏教学者の中には、釈尊は本来、輪廻という思想に否定的であったとする意見もよく見受けられます。 この説に基づくならば、当時、釈尊が説法した時代のインドでは、「生天」や「輪廻」といった思想が強く人々の中に根付いて(民衆の一般常識となって)…

【原始仏教】四向四果Ⅰ ~他者への説法(順々の話)~

原始仏教の教団は、比丘・比丘尼、優婆塞・優婆夷の四衆から成っていました。前の二つは出家僧の男女であり、後の二つは在家信者の男女です。 出家者は社会的義務を離れて遊行生活に入り、二百カ条を超える戒律に従って身を処しました。一方、在家者は社会の…

【原始仏教】十二縁起 ~渇愛 未来の息子・娘と両親~

「無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死」という十二縁起(十二因縁)説には、実に様々な解釈があります。 ここではあまり知られていない解釈、しかしおそらく本来の十二縁起はそのようではないかという解釈を紹介します。 まず、仏教では、有情が生…

【原始仏教】初転法輪⑤ 五蘊無我Ⅱ ~仏教の無我も空も虚無ではない~

五蘊無我(五蘊非我)について、パーリ仏典相応部で次のような説法があります。初転法輪では、四諦・八正道でなく、こちらが説かれたとする説もあります。 釈尊: 「比丘達よ、{色・受・想・行・識}は我ならざるものである。もしも、{色・受・想・行・識}が我で…

【原始仏教】初転法輪④ 五蘊無我Ⅰ ~欲界、色界、無色界の自我~

初転法輪では、「四諦・八正道・四諦三転十二行相」について説法が行われたとする説もありますが、もう一方で「五蘊無我(五蘊非我)」についての説法が行われたとする説もあります。 五蘊無我(五蘊非我)や三転十二行相の話に入る前に、我々が自分であると…

【原始仏教】初転法輪③ 四諦の道諦 ~八正道と慈悲喜捨~

○道諦(道聖諦) 比丘達よ、これが苦の滅に導く道という聖なる真実である。即ち、聖なる八正道である、正しい見解・正しい思惟・正しい言葉・正しい行為・正しい生活・正しい精進・正しい憶念・正しい瞑想のことである。 比丘たちよ、どのように正見が先行するのか…

【原始仏教】初転法輪② 四諦の滅諦 ~原始仏教と日本仏教の繋がり~

○滅諦(滅聖諦) 比丘達よ、これが苦の滅(消滅)という聖なる真実である。即ち、かの渇愛を残り無く離れ、滅し、捨て、棄て、解脱して、執着のないことである。 苦(輪廻転生)の原因は渇愛でした。その渇愛が捨断され滅尽する場所は集諦と時と同じく次の場所…

【原始仏教】初転法輪① 四諦の苦諦と集諦 〜四苦八苦〜

釈尊は自らの覚りを他者へ説法することを決めました。瞑想の師匠であったアーラーラ・カーラーマ仙人とウッダカ・ラーマプッタ仙人は既に亡くなっていましたので、仏陀となった釈尊の最初の説法を受けたのはかつて釈尊と共に修行した五人の比丘(コンダンニャ、…

原始仏教、小乗仏教、大乗仏教とは何か? ~原始仏教を学ぶ楽しさや必要性~

原始仏教は、お釈迦様によって直接教えられた教えを指し、仏教の最も初期の形態です。これに対し、大乗仏教と小乗仏教は、原始仏教から派生した後の伝統です。 原始仏教は、主にパーリ語経典にその教えが残されており、これらは「三蔵」(律蔵、経蔵、論蔵)…

【やさしい般若心経】唯識仏教の観点から般若心経を解釈すると

唯識仏教の観点から般若心経を解釈すると、般若心経は唯識思想の中心的な教えを体現していると言えます。 唯識仏教は、仏教の中でもインドの大乗仏教の一派であり、唯識所変を強調しています。これは、すべての現象が識(心)の所産であり、外界の実在ではな…

【やさしい般若心経】般若心経はどんな経典なのか ~空は虚無ではない~

般若心経は、今日の仏教の中でも特に重要な経典の一つであり、その普遍的な教えは数世紀にわたり多くの人々に影響を与えてきました。 この経典は、観自在菩薩がお釈迦様の代理を務める形で、お釈迦様の弟子である舎利子(シャーリプトラ)へ教えが伝えられる…

【原始仏教】ブッダの修行と悟りとはどういうものだったか~瞑想修行と努力のバランス

成道前、二人の瞑想の師のもとを去った釈尊は、我流で苦行難行と瞑想の修行を続けました。ここまでの瞑想や苦行難行は、欲望(惑)を生じさせる原因として問題ではない感情・思考・欲求をも含めて全てを否定するような形で行われています。 しかし、例えば琴が…

【やさしい般若心経】「不垢不浄」アングリマーラ経の教訓:過去を越えて至る安らぎ

原始仏典(パーリ仏典)にある「アングリマーラ経」の内容を紹介したいと思います。これは釈尊が凶賊アングリマーラを調伏、出家させ、阿羅漢に導くまでの出来事を教えとともに示したものです。 アングリマーラ - Wikipediaja.wikipedia.org アングリマーラの…

【やさしい般若心経】「不生不滅」永遠の命・真理とはなんだろう

中国の禅僧である大竜禅師に、ある修行者が「形あるもの(色身=肉体)は滅びるとということは知っていますが、永遠の命・真理(法身=真如)とは何ですか?」という質問しました。 すると、大竜禅師は次のように答えたと言われてます。 山花開いて錦に似たり、…

釈尊の修行の理由と当時のインドの宗教的な背景

出家した釈尊の修行の話に入る前に、当時の宗教的な時代背景を見ていきたいと思います。釈尊をはじめ、当時の出家者達が苦行や瞑想の修行をする理由は何なのかが分かりやすくなるかと思います。 ○生天思想、そして天界での再死への恐れ 西洋人と祖先を同じく…

マインドフルネスは仏教では8段階のうちの一つでしかない!?

正しいマインドフルネスは仏教の瞑想と考えてよいです。しかし、本家本元の仏教では、瞑想とは修行の8段階のうちの1つでしかないことは、知っていましたか? こういうと、びっくりする人もいます。 それはそうですよね。例えば全8回の連続テレビドラマを…

マインドフルネスと仏教の結びつき

マインドフルネスは単なるリラックス法ではありません。もちろん、いろんなストレスなどで日々疲れているサラリーマン、主婦、学生さんなどを癒やしてくれる有料句な方法でもありますが、その背景には豊かな仏教の世界が広がっているのです。 例えば、皆さん…

マインドフルネスと仏教の座禅の根本的な違い

座禅とマインドフルネスの違いを知らないと効果もぜんぜん違う なんとなく、座禅は仏教的なあの世とか、悟りとかにも関係してくるけど、マインドフルネスは宗教的なものを一切除いた心の健康増進メソッドだ。 こう思っている人が多いと思います。 みこちゃん…

仏教の「空」は心の成長=苦悩・欲望・憎悪・恐怖の束縛からの開放に伴って生じる

「空」という言葉は存在の法則的な意味でなく、もっと狭く心理的な意味で用いられることがあります。原始仏教においては、例えば、次のような形で「空」が用いられることもあります。 心の中にAが無い時、その心はAとしては空であると知る。更に、心の中に…

本当の仏教は死後の世界を語らない~毒矢のたとえ 十無記

パーリ仏典中部にて説かれる、釈尊のマールンキヤプッタへの説法にて釈尊が形而上学的概念に対して沈黙(無記)を保った理由が明かされています。 マールンキヤプッタ:「私はこのように考えました。これらの見解は世尊によって記説されず、捨置され、拒否され…

承認欲求と仏教の関係:正しい承認欲求を持つことは大切なこと

さて、草薙龍瞬さんの『反応しない練習』の解説シリーズです。ベストセラーだけあって、この本は一部でものすごく誤解されています。 その誤解の最大の部分が、この本を「煩悩の否定」だ、怒りなどの感情を消してしまえば、すべてうまくいくのだ、という部分…

仏教の力でSNS疲れ解消!嫌な思いを打ち消し、健全な感情コントロールへ

草薙龍瞬さん『反応しない練習』が大変良い本なので、さらに開設動画連動記事を公開いたしますね。 www.youtube.com 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 作者:草薙龍瞬 KADOKAWA Amazon この「反応しない練習」が優れて…

欲求を無理に否定せずストレスフリーな生き方を実践!草薙龍瞬『反応しない練習』

草薙龍瞬著『反応しない練習』は面白い本ですね! 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 作者:草薙龍瞬 KADOKAWA Amazon 世の中バカ上司や、人を悪く言っちゃいけないとは思いつつも、うー、勘弁してくれ―それ……を繰り返…

生涯と教え:仏教の開祖 お釈迦様、ブッダ、ゴータマ・シッダッタの物語

仏教の開祖であるゴータマ・シッダッタ(巴語)、ガウタマ・シッダールタ(梵語)は紀元前五世紀ごろ(諸説あります)に、インド北部、今のネパール南部にシャカ族の王子として生まれ、29歳のときに城も地位も財産も捨てて出家したと伝えられています。その後、6~…

欲求の肯定と否定:仏教の教え

足りないものを追い求める=煩悩 良いものは求めて良い! 仏教というと、人間の欲望を消し去って楽になりましょう、という教えだという考え方をしている人もいます。 でも、それはどうやら仏教の本当の教えではないようです。 ■良い欲求=上求菩提・下化衆生…